研究成果4
(論文としてまだ未公表な成果もあります)
図 MOF 法による加熱壁面からの核沸騰現象の数値解析
加熱壁面(過熱度ΔT = 10.0℃)から核沸騰により単一気泡が生成する過程の二次元数値解析である.液体は水であり,液相は温度分布となっている.白い部分は気相を表している.初期条件として,時間 t = 0 s において,直径 D = 0.8 mm の気泡核(半球状)を接触角 θ = 45° で加熱壁面上に置き,計算を開始する.本解析は,加熱壁面の厚さを考慮した固体ー流体の連成問題として行っている.加熱壁は銅の物性値を与え,加熱壁厚さは δ = 1 mm である.気液界面の数値的捕捉は, Moment-of-Fluid (MOF) 法を用いている.解析では,気泡は t = 105 ms 程度で壁面から離脱した.液相側温度分布は,気泡の離脱の影響を受けている.また,固体壁内の温度分布も,気泡生成の影響を若干受けているのが分かる
図 加熱壁面からの核沸騰現象の三次元数値解析
(上段): 気泡生成挙動(鳥瞰図) (下段): 温度分布(中央断面)
(上段): 気泡生成挙動(鳥瞰図) (下段): 温度分布(中央断面)
加熱壁面(過熱度ΔT = 7.0℃)から核沸騰により気泡が生成する過程の三次元数値解析である.気液界面の数値的捕捉には MOF 法を用いている.二次元数値解析を拡張しており,核気泡を 2 ms ごとに空間にランダムに設定している.短時間の間に複数個の気泡が成長しながら合一し,合一後は大きく変形しながら上昇しているのが分かる.上昇した気泡は上部の気相中へと抜けるため液層の気液界面もダイナミックな挙動を示す.温度分布に関しては,気泡の上昇運動に伴い気泡背後の水は上方に運ばれ,その流れの影響を受けて高温度域が上方に引き上げられている領域を確認できる.しかし,ここで再現された解析結果は,短い現象時間での沸騰現象であるために,系内の温度場は十分に発達していない.より長時間の沸騰現象を再現すれば,沸騰熱伝達による温度場形成を把握できる
図 加熱壁面に置かれた氷の溶融過程の数値解析
加熱壁面(Th = 80.0℃)に置かれた氷が溶融する過程の二次元数値解析である.気相は温度分布となっている.白い部分は固相と液相を表している.初期条件として,時間 t = 0 s において,直径 D = 6.0 mm の円筒状の氷を 薄い液体層とともに加熱壁面上に置き,計算を開始する.液体と加熱壁との接触角 θ は θ = 50° である.加熱壁は銅の物性値を与え,加熱壁厚さは δ = 1 mm である.固気二相,固液二相,気液二相,気液固三相の数値的捕捉は MOF 法を用いている.解析から,固体が液体へと溶融し,液体が半径方向に広がっていく様子が再現されている.今後は,複数個の固体が溶融する過程の三次元数値解析を行う
図 冷却壁面に置かれた水の凝固過程の数値解析(上段:温度分布 下段:θに応じた凝固後の形状)
冷却壁面(TC = –25℃)に置かれた水が凝固する過程の二次元数値解析である.上段では,凝固過程の様子と系内温度分布が示されている.初期設定としてR (液滴半径) = 1.60 mmに相当する半球の体積を持つ液滴を冷却固体壁との接触角θ = 70°で設置する.気相温度はTG = 25℃,液相温度は凝固点であるTS = 0℃である.凝固が進行するにつれて,固液の密度差により縦方向に伸張することが分かる.液相が完全に凝固したt = 12 sでは液滴先端が少し尖ったカスプ形状となる.下段はθに依存した凝固後の液滴の形状である.凝固後の氷の高さがθに応じてほぼ均等に増加していることがわかる.これは,θの増加に伴い固液の接触(凝固)界面が減少し,固液の密度差による縦方向への伸長の影響が大きくなることに起因する.
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